決して慣れることはない、入所されている方との最後のお別れ。
口数が少ない方ですが、ふとした瞬間の仕草に大きな優しさを感じさせて下さるA様。
A様と過ごさせて頂いて安らぎを感じるのは職員だけではなく、他の入所者の方から「あの人(A様)は、わしの友達や。」と、よくお二人でお互いを気遣いながら過ごされていました。
そんなA様がベッドで過ごす時間が長くなり、数日前から食事をとることが難しくなっていました。
そして今朝、さっきまで、いつものやさしい仕草で問いかけに反応してくださっていたA様の反応が急に小さくなり、急いでご家族に連絡を行いました。
私がA様のお部屋へ伺うと、「Aさん、奥さんと息子さんとお嫁さんが今向かってるからもうすぐ着くよ!」等々、A様に絶え間なく話し続ける職員さん。
その職員さんは私に気付くと「Aさん、ご家族さんが来るって言ったら体があったかくなったんです。」と、再びお声がけを続けてくださいました。
小さな反応をしっかりキャッチし、一心不乱にお声がけをしてくださる職員さんとそれを体全体で答えて下さるA様。
『一緒に過ごすからこその絆』という表現が一番近い、特別なものを強く感じました。
A様が旅立たれた後、「あの人(A様)は、わしの友達や。」とおっしゃられていたB様は、しばらく、涙を流され、いつもと様子が違います。
A様が旅立たれたことはお伝えしていませんし、旅立ちを感じるような事がB様の視界に入ることもありませんでした。涙の理由を尋ねても「わからない」といったご返答でした。
やはり『一緒に過ごすからこその絆』なのでしょうか。
その涙は、A様の旅立ちを感じ取られているようなご様子で、「そのようなBさんの様子に心が苦しく思う」とつぶやく職員さん。
この呟きにも崇高な思いを感じました。
決して慣れることがない最後のお別れを亀寿苑のみんなで悲しみ、このような悲しみをかんじる程、素敵な思い出を下さったA様とのめぐり逢いに心より感謝し申し上げます。
そして、入所者の方々を心から思って下さていると感じる職員さんの言動は、いつお見掛けしても、「本当にすごい方々と私は過ごさせて頂いている」と感じ、光栄に思います。
ありがとうございます。